FinalScratchを語るうえではTraktorははずせないのでTraktorの歴史から書きます。
Traktorは2000年にPC上でDJ MIXができないか?
という考えで作成されたアプリケーションです。
初期のTraktorはあまりDJプレイのLiveに特化しか機能ではなく
どちらかというとMixTapeに近いものが作成できるソフトでした。
そしてけっこう高額すぎたため普及はかなり少ないソフトウェアでした。
少しでも値段を安くしてPCDJというものを認知してもらうことと、
もっとDJの現場での生のプレイの操作感に近づけて作られたのがTraktorDJです。
似たようなソフトで PCDJ RED と PCDJ BLUE がありました。
私の所持する PCDJ RED と TRAKTOR DJ (今でも自宅で眠ってます)

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PCDJ の方はかなりの機能が実装されており当時15000円くらいでしたが、
TRAKTOR DJ の方は↑で書いた通りPCDJソフトウェアの認知度を少しでも上げるべく
安く最低限の機能で作られているので8000円以下で購入できました。(私も買いました)
PCDJ RED & BLUE に関してはこれ以降のリリースは私は知りませんが、
TRAKTOR の方はどんどんプロ指向な進化を遂げています。
そしてTRAKTOR DJ では機能的に実機のプレイからはほど遠い機能であったことと、
安く作られたものでは本格的に現場で使うには厳しいことから
TRAKTORの開発元である
NativeInstruments社は
2002年に Traktor DJ Studio 2 をリリースしました。
Traktor DJ Studio2 の画面

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TARKTOR DJ STUDIO 2 からはPCがあれば
MIXに関してだけであれば誰でも自宅でプロ顔負けの DJ MIX ができるため
TRAKTORユーザーが一気に増加しました(日本ではまだ少ない)
そして宅DJにとどまらないくらいまでの機能をどんどん備えて
2003年にはTraktor DJ Studio 2.5 がリリースされます。
2.5からは機能面、使いやすさを更に強化し音質もASIOを採用したり、
今まではPC内だけでのMIXだけだったのに対して
マルチチャンネルのオーディオインターフェイスを使用すれば
外部ミキサーへ出力できるようになり(インターフェイスでのoutput割振り機能)
現場(クラブ等)のブースでもミキサーから音を出せるようになり実際にクラブで使うDJも出始めて
現場のDJ(当時の海外の)でも納得できるほどのソフトに進化しました。(私も買いました)
同じく2003年に Stanton社が2000年に出したLinux上でタイムコードを読み取り
PC内の音源をハードウェアで操作できるDVS機能を持った FinalScratch の、
WindowsやMacでのソフトウェア開発をNativeInstruments社(以後NI社)がすることで
Stanton社とパートナーシップを結び汎用PCでの Timecodeエンジン(DVS機能)が作られました。
多分ですが、これがWindowsやMacでは世界で初のDVS(DigitalVinlySystem)ソフトだと思います。
2005年には FinalScratch2 のソフト部分を開発してStanton社からFinalScratch2 がリリースされ
その技術を自社のTraktor DJ Studio にも取り入れて
Traktor DJ Studio にDVS機能やストリーミング配信機能、その他機能面の強化を加え
FinalScratch2 とコンパチブルな機能を持つ Traktor DJ Studio 2.6 がリリースされました。
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2.6の登場でPCだけで行うMIXだけではなく場合によっては
FinalScratch として直接アナログレコードやCDJで操作できる為、
現場で使用するプロのDJもかなり増加しました。(海外で)
2006年にはBeatportOnlineStore機能(traktor上でbeatportの楽曲が視聴や購入可能)や
4デッキ使用可能になり初のDJ用MidiコンもNIからリリースされたことでMIDIの連携を強化して
各種エフェクターやループ機能も備わったTraktor DJ Studio 3 がリリースされます。(私も買いました)
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Traktor DJ Studio 3 もマイナーアップデートが頻繁に行われて機能強化を続けていくなか
FinalScratch のアナログレコード操作技術(DVS)を直接自社製品として出すために
Traktor DJ Studio 3.2からはDVS機能がなくなり
2007年には
TraktorScratch としてDVS機能を持った製品を別アプリケーションとしてリリースし、
それまでStanton社が作っていたオーディオデバイス部分もNIからリリースされ、
TraktorPro、TraktorScratchProとDVSの有無でソフトが分れるようになります。
ここで Traktor DJ Studio の開発は多分終了しています
TraktorScratch のアナログレコード操作の機能(DVS)以外は
TraktorPro(Traktor DJ Studio) にもほぼ備わっており
PCでの操作(Midiコンも含)とDVSを兼用するならTraktorScratch、
PCでの操作(Midiコンも含)のみのプレイなら TraktorPro(Traktor DJ Studio)、
とユーザーが別れるようになってきています。(私は TraktorScratch PRO を買いました) |